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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が弱まり(乾燥しやすい状態)、アレルギーを起こしやすい体質が関係して起こるかゆみの強い湿疹の病気です。もともと、家族や本人にぜんそく・花粉症・鼻炎・結膜炎・湿疹などのアレルギー疾患があることが多いのも特徴です。

皮膚のバリアが壊れると、外からの刺激やアレルゲンが入りやすくなり、かゆみや炎症が悪化します。治療の目的は、皮膚を健康な状態に保つことと、再発を防ぐことです。

参考文献


当院での治療

外用療法(ぬり薬)

まず基本となるのが「外用療法」です。皮膚の炎症をしずめ、保湿を保つことが大切になります。例えば、

  • ステロイド軟膏:炎症やかゆみを抑える主役の薬。部位や症状に合わせて強さを調整します。
  • 非ステロイド性外用薬:ステロイド外用を長期間続けると毛細血管血管拡張や皮膚が薄くなることがありますが、そのような副作用がなく、長く使いやすい薬です。
    • タクロリムス軟膏(プロトピック®):最初は少しピリピリすることもあります。
    • デルゴシチニブ軟膏(コレクチム®):赤みやかゆみをおさえる新しいタイプの外用薬。
    • ジファミラスト軟膏(モイゼルト®):2022年以降使われているPDE4阻害剤で、副作用が少ないのが特徴です。
    • タピナロフクリーム(ブイタマークリーム®️)芳香族炭化水素受容体(AhR)を活性化させて皮膚の炎症をおさえます。
  • 保湿剤(ヘパリン類似物質・ワセリンなど):皮膚のうるおいを守り、治療の基本になります。

外用薬は、1日2回(朝・夜)塗るのが標準です。保湿剤はティッシュを肌に置いて裏返しても落ちないくらい、しっかり塗ることが大切です。

参考文献


内服療法(飲み薬)

外用薬で十分に改善しない場合、体の中から炎症を抑える薬を使います。

  • 抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬:かゆみをやわらげ、睡眠を助けます。
  • シクロスポリン:免疫の反応を抑え、強い炎症をしずめます。
  • JAK阻害薬(例:アブロシチニブ・バリシチニブ・ウパダシチニブなど):新しいタイプの薬で、かゆみや炎症を素早く抑えます。効果が高いため、中~重症の方に使います。

参考文献


光線療法(ナローバンドUVB・エキシマライト)

皮膚に紫外線をあてて炎症をしずめる方法です。

薬の量を減らす助けにもなります。多くは週1~2回の通院で行います。

参考文献


注射療法(生物学的製剤)

重症で、外用・内服薬でも効果が十分でない場合に使います。

  • デュピルマブ(デュピクセント®):炎症やかゆみを強く抑える働きがあります。
  • ネモリズマブ(ミチーガ®):特に「かゆみ」に効果が高い薬です。
  • トラロキヌマブ(アドトラーザ®):IL-13という炎症物質をターゲットにした新しい薬です(2023年〜)。

どの薬も患者さんの状態を見て、医師が慎重に選びます。

参考文献

アレルギー学会 分子標的治療の手引き 2025


日常生活のケア

治療と同じくらい大切なのが「日常のスキンケア」です。

  • 毎日入浴し、汗や汚れをやさしく落とす
  • 入浴後、5分以内に保湿剤を塗る
  • かゆみが強いときは冷やすなどしてかかない工夫をする
  • 睡眠やストレスも関係するため、生活リズムを整える

参考文献


まとめ

アトピー性皮膚炎の治療は、「ぬり薬をしっかり使うことが基本」です。症状がつらいときは、医師と相談しながら段階的に内服薬・光線療法・注射薬へと進めていきます。治療の目標は「症状をコントロールして、快適に生活できる状態を保つ」ことです。

参考文献