乳児湿疹とは
乳児湿疹とは、生後1年未満の赤ちゃんに現れる湿疹の総称です(母子保健法に基づく)。生まれて間もない赤ちゃんの肌はまだ未熟で、様々な原因で湿疹ができやすく、その状態や症状も多様です。乳児湿疹は顔や頭皮、首など皮脂の分泌が多い部分に赤いぽつぽつや黄色いフケのようなものができることが多く、かゆみを伴うこともあります。一般的に一過性のことが多いですが、適切なスキンケアと症状に応じた治療が重要です。
乳児湿疹の主な原因
- 母親のホルモンの影響
胎盤を通じて赤ちゃんに渡る女性ホルモンが出生後に少なくなり、男性ホルモン優位になるため生後数ヶ月間は皮脂分泌が過剰になり、毛穴に皮脂が詰まり湿疹やにきびが起こります(乳児脂漏性皮膚炎や新生児痤瘡)。
- 皮膚バリア機能の未発達
赤ちゃんの皮膚は潤いを保持したり外部から守る力が弱いため、唾液や食べこぼし、衣類の摩擦などの刺激で湿疹ができやすいです。
- 汗による影響
汗腺が未熟で汗をかきやすく、汗が皮膚にたまることで炎症を起こし、発疹やかゆみが生じます(おむつ皮膚炎、汗疹など)。
症状
- 顔や頭皮、首に赤いポツポツや黄色いフケ状のかさぶた
- 小さな水ぶくれやかゆみ
- 悪化すると湿疹がじゅくじゅくして膿を持つこともあります
これらは乳児湿疹の典型的な症状で、多くの場合正しいスキンケアにより自然に治っていきます。
乳児湿疹の診断と注意点
乳児湿疹は多くの原因が関わるため、専門医による診察が重要です。赤ちゃんの湿疹が続き、かゆみが強い場合はアトピー性皮膚炎の可能性もあるため、医師の診断を受けることをおすすめします。自己判断でのスキンケアや食物除去は控え、定期的に医療機関で観察・診断を受けましょう。
参考文献
治療とスキンケア
- 保湿を徹底する
乳児の皮膚は乾燥しやすいため、低刺激で保湿効果の高いクリームやローションを使用し、皮膚のバリア機能を守ります。
- 顔をやさしく洗う
低刺激の石鹸でやさしく洗い、汚れや汗を取り除き清潔に保ちます。
- 環境調整
室内の温度や湿度を適切に保ち、汗をかきすぎないように注意します。
- 医師による適切な薬物療法
症状に応じて、必要により低力価のステロイド軟膏や抗炎症薬が処方されます。
まとめ
乳児湿疹は、生後間もない赤ちゃんに多く見られる皮膚のトラブルの総称です。原因や症状は多岐にわたるため、しっかりとしたスキンケアと定期的な医療機関の受診が必要です。適切なケアと治療で多くの場合は改善しますが、かゆみの強い湿疹が長引く場合はアトピー性皮膚炎の可能性もあるため、早めの相談をおすすめします。
参考文献・公式資料(URL付き)
- 乳児の皮膚トラブルの評価項目に関する文献レビュー 日本助産学会誌 J.Jpn. Acad. Midwif., Vol. 35, No. 1, 3-10, 2021
- 清水 宏著 「あたらしい皮膚科学」株式会社 中山書店(2018)364ページ
- 厚生労働省「みんなで知ろう!からだのこと」